ネット検索などで専門家の方々のブログや研究レポートなどから、「滑舌が悪い」発声は、二種類あるようです。

  1. 高い周波数の発声が弱い、または欠落
  2. 他の言葉への置換わり
それぞれについて、音声特徴を調べます。

滑舌(高周波数)⇒ 明瞭度

人の耳は、20Hz~20,000Hzまで対応できるそうですが、会話では100Hz~5,000Hzの範囲で行われているようです。
  • 摩擦音、歯擦音と呼ばれる「サ行・タ行・ハ行」の発音で、周波数が4,000Hz以上*1
  • 男女差があり、男子は3,000Hz以上、女子は4,000Hz以上の発声が弱いと、相手が聞き取りにくい
  • 走行中の車中の聞き取り実験で、外からの雑音と車内の話し声で比較した際、社内の会話が周波数2,000Hz~4,000Hzの音域で優勢だと聞き取りが出来る*2
このように、高い周波数を監視することで、滑舌の良否が判定できそうです。さらに、
『「滑舌」という言葉は、舞台用語として生まれたもので、ほぼ「明瞭度」と同じと捉えてよい。滑舌の悪い人の発声は不明瞭であって、マスクをして話をすると同様、高周波の音が籠って外部に出てこない状態と言える』*3(要約)
という意見があります。
ということで、高周波の発声は、「滑舌」の良否を説明する重要な指標と言えそうです。

滑舌(置換わり)⇒ 置換え監視

一方、ラ行に象徴される「呂律の悪さ」は、正しい発声ができていないために、他の言葉に置換わって聞こえてくるものです*4*5
  1. 子音の欠落(ラ⇒ア、リ⇒イ等)
    例) ありがとう⇒あいがとう
  2. 濁音に変化(ラ⇒ダ、リ⇒ディ等)
    例) ありがとう⇒あでぃがとう
などが代表的な置換です。この場合、発声の内容が事前に把握できないと判断できません。「有難う」と感謝を述べたのか、「藍が問う」と娘さんの藍さんが質問したのか、まぁ前後の文脈で人間は判断できますが、計測器では困難でしょう。

置換わりによる誤解
置換わりによる誤解

ということで、この判定は事前に把握された文章に対して比較し、その差分から判定することにしました。


【参照ページ】
*1)  滑舌-1|声優養成書店ブログ
*2)  音声の周波数スペクトルと聞き取り易さの評価