抑揚 ⇒ 音程、音圧
イントネーションは、「抑揚」と訳されていますが、専門家によるとイントネーションの抑揚とアクセントの抑揚は、異なるとのこと。イントネーションは、文書の論理的抑揚と感情的抑揚がある*1が、アクセントは、単語の抑揚+強弱だそうです。
紛らわしいので、単に「抑揚」とした場合、イントネーションとアクセント双方を意味することにします。
イントネーションの抑揚⇒音程の上下
まずイントネーションの抑揚について、例文を使って説明したいと思います。
「裏庭には二羽、庭には二羽、鶏がいる。」
という早口言葉は、言語をコンピュータで解釈する際のサンプルとして、1990年前後の第五世代人工知能ブームの頃よく使われた文章です。
論理的な抑揚
ここで論理的な抑揚について観てみます。「裏庭には」は、最初の「二羽」、その後の「庭には」は、次の「二羽」に係っています。さらに最初の「二羽」、次の「二羽」そして最後の「鶏」は、「いる」に係っています。コンピュータ解析の世界では、係り受け解析と呼んでいるようですが、係る方の抑揚が高く、係られる方の抑揚が低く発声されるのが論理的抑揚の特徴です。
感情的な抑揚
一方感情的抑揚は、話者がどちらの鶏に想いがあるか、あるいは鶏が居るのかいないのかが重要なのかで、音程が変化するという日常の会話でよく耳にする抑揚です。感情的な抑揚は、従って抑揚の位置が「その時の思い」に左右されます。
「裏庭には二羽、庭には二羽、鶏がいる。」
では、話し手は庭の鶏に思いがあることが分かります。
抑揚は、音程の上下パターン
従って、良いイントネーションの音声の音の上がり下がりの流れ、すなわちパターンを計測し、これと試験者の音声を比較することで、良否を判定出来そうです。この音声の上がり下がりは、音の高さの変化とみることが出来ますので、音声単位毎の音程を計測すれば良さそうです。
音程は、「ドレミファソラシド」の12音階でお馴染みです。「君、音外してるよ」とか、カラオケで、「十八番の歌、今夜82点でした」などという音階ですが、音声解析の世界では、周波数で表現されてます*2。なので、この周波数を計測することになります。
抑揚のある話し方
では、アナウンサーのようではないが、味のあるしみじみとした語りや個性的な抑揚はダメなのか?
確かに、経験的にそのような語りがあり、加点できないものだろうか。
ということで、抑揚の上下パターンだけでなく、次の二点も計測し評価すべきでしょう。
- 音程の上がり下がりの多さから、表現が豊かな抑揚を推定
- 音程の上がり下がりの最大幅から、感情が豊かな抑揚を推定
アクセントの抑揚・強弱⇒音程の上下・音圧の強弱
アクセントは、英単語の場合、アクセント記号にあるように、抑揚というより強弱ですが、イントネーションが抑揚(音の高低)で表現されるのとは異なりアクセントは、抑揚+強弱で単語を表現しているようです。*3
日本語のアクセントは、音の高低だけで強弱は意識されない。
というのが通説だそうですが、これはちょっと驚きですね。アクセント辞典は、何のためにあるのでしょうか?
Web上にあるOJADのアクセント辞典の例でも、
医者⇒いしゃ私⇒わたし※下線部を強く読む
とあるように、単語単位でもアクセント強弱があります。また、「焦点づけ」と表現されていますが*4、
それはすごいですねそれはすごいですね私はやっていません私はやっていません
のように、伝わるニュアンスが全く異なっています。
ということで、この計測器では、音の強弱も計測対象として、抑揚の良否判定に加えたいと思います。
音の高低の場合、音声単位毎の音の高さ(=周波数)を指標として計測します。一方強弱は、音の強さ(=音量)で同様に計測できます。ある瞬間の音量を測る場合、音声解析・分析の世界では、「音圧」と呼んでいますので、音量ではなく「音圧」を強弱の指標とします。
アクセントにある強弱のバターン
音程パターンと同様、音圧のパターンを「読み」と連動させ、良いお手本と比較することで、評価したいと思います。
アクセントのある話し方
やはり、音程同様に音圧についても、その上下の運動量と上下幅から、抑揚強弱の良否を判定したいと思います。
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